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年に一度は訪れるという南仏の風景画は、特有の太陽の光を受けた建物や、窓や緑が在り、その合間からはまっ青な空がのぞく。その空気は乾いている。日本の山や海のある風景にはその湿度も描かれ、四季の象徴物が画面上に無くても季節感が伝わってくる。
山田精一の絵画の特徴は、対象を捉えるとき面として塗りこむことをぜず、色を分解し、彩度のある点で置いてゆくという手法であるが、「点描」の精密な感じとはニュアンスの違う、ラフな、力の抜けた印象がある。それは点の単位を筆の一塗り(brush point)の単位にとどめているせいもあるだろう。
光と影を、色を混ぜない彩やかさを保ったまま画面におきかえていくにはよほどの観察力やそれに裏打ちされた構成力を要するであろうが、単なる技巧にはしらず、描き込みすぎないところで筆を止めている。観る者はそこに安心し、絵の中の風景に自然と入ってゆくことが出来るのだ。
山田精一の絵には空気が描かれている。
その絵の中の、風景の前で、普段鑑賞するよりすこし多めに距離をとり、一点に集中しないようぼんやりと全体をながめてみる。南仏の乾いた風や、石だたみのひんやりとした感触が伝わってくるのは、その現場でカンバスを立て、油絵の具を広げているせいも充分にあるのだろう。
気負いなく、描きたいものに真っすぐ向かっている気持ちのよい作品である。 |
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